「甘エビ」というと寿司ネタでも高級感のある食材で、あのプリプリの食感ととろけるような甘味は、食べたらやめられなくなる美味しさですね。
この「甘エビ」知れば知る程、不思議なエビなのです。今回はそんな「甘エビ」に迫ってみたいと思います。
![甘エビ](https://food-column.com/wp-content/uploads/2019/12/amaebi4-160x160.jpg)
「甘エビ」ってどんなエビ?
姿、形は知っていても「甘エビ」とはどんなエビなのでしょうか。
「甘エビ」は「タラバエビ科」に分類されています。
「タラバエビ科」とは「たらばガニ」のいるような寒海に生息しているエビという意味です。
実は「甘エビ」というのは俗名で正式名称は「ホッコクアカエビ」といいます。
生息地はロシア・ベーリング海から東太平洋にかけて、日本では山陰以北から北海道にかけての日本海、オホーツク海です。
水深200~600 mの深海に生息しています。体長は12~15cm程です。
旬は場所によって違いますが、基本的には秋の終わりから冬にかけての海水が下がる頃です。
水揚げ量では北海道が7割をしめ、新潟、北陸地方と続きます。
近年、養殖ができない水産資源であることから、価格が2倍ちかくに上がった貴重品でもあります。
そのため、日本海に面した各県では、協力して資源保護対策を行っています。
そもそも、「甘エビ」がポピュラーに食べられるようになったのは、1970年以降です。
それ以前は、地元の人は食されていましたが、全国的には知られていませんでした。
それは、北海道で大量に獲れ始めるようになったことと、都内の百貨店で取り扱い、宣伝したのがきっかけで全国へ広まりました。
要するに味の虜になっていった訳です。従って、食としての歴史は浅いといえます。
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実は「甘エビ」にはいろいろな名前がある!
その鮮やかな赤色と形が「赤唐辛子(南蛮)」に似ていることから「南蛮エビ」と呼ばれています。
その中でも上越地方では、濃緑色の卵が特産の翡翠(ひすい)を連想させることから「ひすい娘(むすめ)」佐渡では跳ねて活きがいいことから「はねっ娘(こ)」と呼び、親しまれています。
また、4~5月頃漁獲される脱皮した殻の柔らかい「甘エビ」を「もちえび」と呼ぶこともあります。
富山地方では「アカエビ」さらに「ヌキエビ」と呼ぶ地方もあります。
このように獲れる地方によっていろいろな呼び名があるなんて、おもしろいですね。
「甘エビ」は何で「甘エビ」と呼ばれるのか?
口の中でとろりと感じる甘味が美味しい「甘エビ」はなぜ「甘エビ」と呼ばれるのでしょう。もちろん、生で食べた時の濃厚な甘味からきています。
「甘エビ」といわれる由来をくわしく説明していきましょう。
全般的にエビには「グリシン」という甘味系のアミノ酸が多く含まれています。これがエビを食べた時に感じる独特の甘みの元になっています。
伊勢エビや車エビには白身魚の100倍程の「グリシン」が含まれています。
しかし、「甘エビ」は他のエビに比べて「グリシン」の含有量が少ないのです。
甘く感じるのは「グリシン」の量ではなく、あの独特の「とろみ」のおかげなのです。
この「とろみ」が甘味と一緒になって、舌に乗ることで甘味が強調されます。
この「とろみ」は、タンパク質の分解酵素が「甘エビ」自らの筋肉を分解してできたものです。
「甘エビ」は「グリシン」ではなく、このたんぱく質の分解酵素を他のエビより多く持っているため、「とろみ」があって甘いのです。
ちなみに「甘エビ」は生存している時より死んでからの方が美味しく感じられます。
時間の経過と共にたんぱく質の分解酵素が働き、より多くの筋肉が分解されて「とろみ」が増すためです。
「甘エビ」の名前の由来、おわかりいただけましたでしょうか。
「甘エビ」は性転換する
「甘エビ」はさらに不思議な生態としての特徴を持っています。それはオスからメスへ性転換するのです。
「甘エビ」は生まれて3年程はオスもメスも区別がなく、性別を持ちません。はっきり性別を現すのは4年目からです。
4年目に入るとオスとして生存していきます。
従って市場に出回っている小ぶりの「甘エビ」はこの時期のもので、すべてオスということになります。
そして、不思議なことにメスと交尾したオスは5~6年目からはメスとして生存します。つまり、オスからメスに性転換するのです
まとめ
「甘エビ」についてご紹介してきました。
「甘エビ」は「タラバエビ科」のエビで、日本では山陰以北から北海道までの日本海、オホーツク海に生息し、正式名称は「ホッコクアカエビ」といいます。
地方によって様々な呼び名で親しまれてきました。養殖のできない生き物として、資源保護活動が行なわれています。
甘味の秘密として、「とろみ」の部分がたんぱく質の分解酵素として関わっています。
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