甘エビは私達はよくお寿司やお刺身で食べる馴染みがあるエビだと思います。
他にもエビの種類は多く、「甘エビ」と同じタラバエビ科の仲間に「ボタンエビ」がいます。
ボタンエビって聞いたことはあると思いますが、どういうエビかって意外と知りません。
今回は「甘エビ」と「ボタンエビ」の違いについてご紹介していきます。
甘エビは日持ちする?オススメの保存方法をご紹介!「ボタンエビ」とはどんなエビ?
冒頭で述べたように「ボタンエビ」は「甘エビ」と同じタラバエビ科に属します。
間違えやすいのは一般に「ボタンエビ」というのは「トヤマエビ」と称されるもの(以後ボタンエビ)で、別に本種「ボタンエビ」が存在することです。(以後本種)
本種は漁獲量が少なく市場にあまり出回らないので、比較的多く獲れる「トヤマエビ」が代用され、「ボタンエビ」として全国に広まっています。
また、カナダからの輸入品の「スポットエビ(スポットブラウン)」も「ボタンエビ」と呼ばれています。
一般的に私たちがお寿司さんで口にするのはこの「トヤマエビ」や「スポットエビ」です。
「ボタンエビは」名前の通り、牡丹の花のような濃いオレンジ色をしていて体長は15~20cmになります。
島根沖から北海道にかけての日本海側の、水深100~400mというタラバエビ科としては比較的浅いところに生息しています。
それに対し本種は北海道噴火湾から土佐湾までの太平洋側で水深300~500mで生息しています。
「トヤマエビ」と本種の見分け方は、「トヤマエビ」は本種より頭胸部の隆起が大きくずんぐりしています。
「トヤマエビ」は明るく透明感のある朱色に赤褐色の縞模様があり、胸部(頭部)に白い班紋があります。
本種は体色が牡丹の花のように赤く、腹部に濃い朱色の班紋があります。
本種は絶対量が少ないのでこんなエピソードがあります。
2003年、市場にあまりお目にかかれない本種が十数年ぶりにたくさん入荷されました。
この時、多くの仲買人が本種の「ボタンエビ」ということがわからなくて「何か色合いの悪いエビだな」と言って値付けに困ったそうです。
実際、本種を知っていたのはエビを専門に扱う専門店の店員だけだったそうです。
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「甘エビ」と「ボタンエビ」」の違いや見分け方は?
「甘エビ」も「ボタンエビ」も同じように「雄性先熟」という性転換をします。
寿命は「甘エビ」の約10年に対し「ボタンエビ」は約8年と言われています。
見た目による見分け方は、まず、色ですが「甘エビ」も「ボタンエビ」も濃いオレンジ色をしていますが「ボタンエビ」の方が透明感があります。
よって内蔵が外からでも見てとれます。
大きさも「甘エビ」が10~12cmなのに対し、「ボタンエビ」」は15~20cmと一回り大きくなっています。
味覚的には「甘エビ」「ボタンエビ」」共に甘みがありますが、「甘エビ」の方が甘みが残ります。
すなわち旨味成分は「甘エビ」の方がある証拠です。
決定的に違うのは水分量です。
「甘エビ」の方が水分を多く含んでいます。
しかし、加熱すると水分が減って身がパサパサになってしまい、水分と共に旨味成分が出ていってしまい味が落ちてしまいます。
従って、生で食べるのがお薦めです。
一方「ボタンエビ」は「甘エビ」程の甘みは感じないもののブルッとした食感があり、非常に美味です。
生でもいただけますが水分量が少ないため、塩焼き、てんぷら、フライなど加熱した料理に合っています。
「ボタンエビ」は漁獲量が少ないため、生で食べるエビ類(主にタラバエビ科)の中でも高価なものの一つとして、ほとんどが高級寿司店や料亭に卸されています。
他にもたくさんいるエビと「甘エビ」の違いは?
エビの種類は約3000種とも言われています。その中で「白エビ」と「クルマエビ」をご紹介します。
白えび
「白エビ」はクルマエビ科に属するエビで、富山県で一般的に「白エビ」と呼んでいます。
1996年に「ぶり」「ホタルイカ」と共に「富山県の魚」として指定されました。
体長5~8cm程で「サクラエビ」より少し大きく、横に平たい形をしています。体色は無色透明でわずかにピンクがかっています。
死ぬと乳白色になることから「白エビ」と呼ばれるようになりました。
日本固有のエビで富山湾のほか、遠州灘、駿河湾、相模湾で獲れます。
ただ商標で「白エビ」という名称で漁獲ができるのは富山湾だけに限られています。
そのため地元では「富山の宝石」と言われています。
「白エビ」の身はとても濃厚で、小さな「白エビ」の刺身の一粒一粒に甘みや旨味が詰まっていて、一口食べただけで充分過ぎる程の満足感が得られます。
また富山名物として「白エビの昆布締め」という商品があり、「白エビ」の甘みと昆布の旨味がミックスされて独特のおいしさを出しています。
クルマエビ
「クルマエビ」はクルマエビ科に属し、水深15~25mの内陸砂地に生息しています。分布も広く、インド洋、太平洋と広がっています。
夜行性で昼は砂地に潜り、夜活動しています。
地方の呼び名として「ホンエビ」「マエビ」とも呼ばれ、体長は15cm程ですがメスの中には30cmに達するものもいます。
「クルマエビ」の名は腹を丸めた時にできる縞模様がクルマの車輪に見えることから由来しました。
体は細長い円筒形で脚は太く短く、体色は青灰色か淡褐色で黒い縞が頭胸甲には斜め、腹部には横に入っています。
寿命は1年と短いです。
外洋に生息する「イセエビ」と共に、エビの代名詞的存在で、昔より高級品として扱われてきました。
江戸前の天ぷらや寿司には欠かせない存在ですが、最近は内湾の開発による干拓開発や汚染によって、激滅しています。
天然ものは非常に貴重なものとなり現在、養殖ものがほとんどとなりました。茹でるととても綺麗な赤色に変色します。
「甘エビ」と他のエビとの違いは?
このように一口にエビといってもたくさんの種類のエビがいます。
エビを卵の産み方によって、大きく分けて2つに分類することができます。
「甘エビ」「ボタンエビ」「クルマエビ」のように卵を海中に直接放つ仲間(根さい類)と「イセエビ」「オトヒメエビ」のように卵を腹部に抱いて卵が孵化するまで守り続ける仲間(抱卵類)です。
現在では卵を守る方が生き残りに有利なのか、抱卵類の方がより多様に進化しています。
そして「甘エビ」と他のエビで決定的に違うところは、「甘エビ」の名前の由来となっている甘みです。
この甘みは獲れたての新鮮な状態では感じられず、死後、多少時間が経過してから甘みが感じられるようになります。
これは「甘エビ」が自己消化の過程で、たんぱく質が酵素によってアミノ酸に分解されるためで「甘エビ」の最大の特徴といっていいでしょう。
まとめ
「甘えび」の仲間として「ボタンエビ」を中心に紹介してまいりました。
「ボタンエビ」は「甘エビ」と同じタラバエビ科のエビで、一般的にはいわれている「トヤマエビ」と同じエビです。
それとは別に本種の「ボタンエビ」がいます。
こちらは捕獲量が少なく、高価なエビとして高級寿司店や料亭に利用されています。
「ボタンエビ」は「甘エビ」と比べると一回り大きい体長で、水分含有量が「甘エビ」程ありません。
そのため天ぷらや塩焼きといった加熱した料理に合っています。
たくさんいるエビの仲間からクルマエビ科の「白エビ」と「クルマエビ」を紹介いたしました。
エビによって当然味の特徴がありますし、おいしい食べ方も違ってきます。食べ比べてみるのも楽しみです。
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